6.現代の個人性に関する人類学的研究ーー「日常」・「情動」・「記憶」に着目して
代表者
荒木 真歩
協力者
眞明 夏三(国際文化学研究科・博士後期課程)
前田 宙 (国際文化学研究科・博士後期課程)
協力者
木村 彩音(大阪経済法科大学国際学部・准教授)
土井 冬樹(天理大学国際学部・講師)
プロジェクトの目的
現代のグローバル化や新自由主義等の影響により、生活のミクロな部分では個人が何を良しとして生きていくのかが、より問われるようになっている。人類学では 2000 年代以降、民族集団などの社会レベルで共有された伝統的な規範を同定するのではなく、より個別具体的な状況に焦点を当て、その場で発現する、あるいはその場から創発される個人の行為・生き方が注目されている[Lambek2010;佐川 2021]。
本研究プロジェクトでは、こうした近年の行為者を主題とする研究、特にモラリティに関する人類学を参照する。そして個人がいかに社会規範などを内省的に思考し、個別の行為を選択しながら創造的に生きているのかを探求する。本研究では文化・社会の制度や規範の相対化を試み、日々の生活環境と関係性の多層的状況から微細にあらわれる個人のミクロな「日常」の行為やその「情動」へ着目する。その上で、個人の行為やその選択・判断の指針の一つとなる、歴史認識に関わる個別の「記憶」に注目する。以上の点を踏まえ、現代社会における個別の複線的な生き方の可能性について検討する。