アフリカン・コンヴィヴィアリティ・センターの設置について

梅屋潔
アフリカン・コンヴィヴィアリティ・センターは、神戸大学が、より意識的にアフリカの研究者、学生との交流を振興するために設置されました。
神戸大学でも、国際協力や様々な分野で、交流は少しずつ進んでいます。しかし、地球規模のフロンティアたるアフリカとの交流は、そうした部分的なものでは不十分です。
人文社会系をベースにしながら、国際的な研究分野を探求してきた国際文化学研究科では、アフリカの在来知、その拠って立つ哲学などを大切にしながら交流を振興したい、という機運が高まってきました。今回顧問に就任していただいた、フランシス・ニャムンジョ教授とは、2015年から10年間にわたる共同研究を推進してきましたが、彼に代表されるようなアフリカ出身の優れた研究者たちからもっと積極的に学んでいこう、また、彼らの学生たちと、私たちの学生との交流ももっと積極的に推し進めていこう、というニーズの高まりにより、そうした事業を振興するための組織が必要だ、ということになったのです。
人間が、人間となるための道程の中で実現しようとする理想の一つとしてニャムンジョは、コンヴィヴィアリティをあげています。違いを認め合い、時には衝突しながらも、相互に利益を分かち合う、ある意味では理想の一つとしてセンターの名前に選びました。
2025年4月に設立された、アフリカン・コンヴィヴィアリティ・センターは,アフリカを対象とした事業の推進に関する次の業務を行います。
- アフリカを対象とする研究プロジェクトに関する業務
- アフリカ系研究者及び学生による研究プロジェクトに関する業務
- これら研究プロジェクトの成果発信のためのセミナー等の企画及び開催に関する業務
- 内外の団体および機関等との渉外に関する業務
- その他アフリカを対象とするアフリカ系研究者及び学生に関する業務
もとより、日常生活や研究にまつわる事務的なことを英語によってサポートすることや日本語学習の手引きなど、センターの活動内容はほかの外国人研究者に対するものと大差ありません。しかし、アフリカ系の在留外国人がまだまだ少ない現在では、その本質主義的なカテゴリーの不備を認めながらも、いったん「アフリカ」とまとめて、事業振興することに一定の合理性があると考えたのです。
このセンターが不要になるときは、アフリカからの研究者がごく自然に、同僚や、学生として研究科に滞在するようになっているでしょう。そのような将来を目指して、アフリカン・コンヴィヴィアリティ・センターは活動を進めてまいります。
国際文化学研究科長 梅屋潔
