3.Playing for the other team: queerness and sports in film
代表者
Arnaud Stockinger
分担者
Yosri Razgui
松元実環
プロジェクトの目的
本研究は、クィアな経験とスポーツの交差を、現代スポーツ映画の表象を通して考察するものである。スポーツは異性愛規範やナショナリズム、ジェンダー規範の拠点とされ、身体、人種、セクシュアリティ、ジェンダー・アイデンティティ、国民的帰属意識をめぐる支配的な規範を制度やメディアを通じて再生産してきた。
映画はしばしばスポーツを神話化し、理想化された男らしさや競争精神、国家的誇りを強調するが、近年ではこれらの価値観から逸脱するクィアなアスリートを描く作品も現れている。こうした作品はジャンルの規範を揺るがし、帰属感や身体性、感情表現の代替的あり方を提示する。
本研究では以下の問いを軸に分析を行う。スポーツ映画においてクィアな経験はどのように描かれているのか?性役割と競争の支配する空間で、クィアネスはいかに語られ、美的に構成されているのか?スポーツを通じてクィアな主体はどのように「居場所」を見出し、それは映画でどのように描写されているのか?そして、これらの映画は支配的構造に挑戦するのか、それともホモノーマティブな包摂を通じてそれを再生産しているのか?