5. 宝塚歌劇における「女同士の絆」の意識の再編:パワーハラスメントなどの問題をめぐって

代表者
張 嘉慧(国際文化学研究推進インスティテュート学術研究員)

分担者
余 玟欣(国際文化学研究推進インスティテュート学術研究員)    

プロジェクトの目的

本プロジェクトは代表者の博⼠論⽂「宝塚歌劇における「⼥同⼠の絆」―雑誌・作品・聞き取りを通したファンと劇団における関係の研究―」からの継続研究である。代表者の博⼠論⽂の考察結果によれば、⼥性だけで構成される宝塚歌劇における「⼥同⼠の絆」は、「⼤衆的なフェミニズム・プロジェクト」として、⼥性ファンに⼥性の連帯と協⼒、⼥性の権⼒促進、現実主義でかつ闘争的なフェミニズム思想を持たせる可能性があると考えられる。しかし、時には権⼒構造や規範の再⽣産などの側⾯も持っていることは否めない。2023年9⽉に起こった劇団員の⾃殺、および劇団側の対応は、パワーハラスメントなどの⼈権問題をめぐってファンの中に⼤きな波紋を広げている。このような宝塚歌劇の⼥同⼠の関係性のユートピア的な絵図の⻲裂は、ファンがどう向き合うかが問われている。したがって、本プロジェクトは、劇団員の⾃殺という事件を中⼼に、宝塚歌劇における「⼥同⼠の絆」に関するファンの⾒解の新展開とその意味の考察を進める。