1. 移住に伴う集合的記憶の生成と継承
代表者
土井冬樹(国際文化学研究推進インスティテュート・協力研究員)
分担者
木村彩音(国際文化学研究科博士課程後期課程)
※協力者として、前田 宙(国際文化学研究科博士課程前期課程)、深川宏樹(国際文化学研究科・准教授)が参加。
プロジェクトの目的
本研究プロジェクトの目的は、移住者やその子孫などが、故地、移住に関する(祖先の)経験、移 住後の(祖先の)経験をいかに想起し、どのように交渉して文化や出自に関して継承し、集合的記憶 を構成するのか、そのメカニズムを明らかにすることである。このプロジェクトは「「負の遺産」の 複層性をめぐる人類学的研究」の後続研究である。前プロジェクトを通して、人々が重視していたの は「負の遺産」にまつわる語り以上に、それによって想起される記憶であることが明らかとなったた め、集合的記憶の生成と継承というテーマへ移行した。
集合的記憶とは集団の記憶であり、人々がまとまりをもつ基盤を提供するものである。これはアル ヴァックスによって取り上げられ、アライダ・アスマンなどによって議論されてきた。このプロジェ クトでは、とくに移住経験が及ぼす文化変容や継承に関わる問題系として、集合的記憶や想起を捉え る。そして人々が、どのように記憶の総体と向き合いながらそれを取捨選択し、集合的記憶を構成し ているのかを議論する。