7. 「負の遺産」の複層性をめぐる人類学的研究

代表者
土井 冬樹(国際文化学研究推進インスティテュート・協力研究員)
分担者
木村 彩音(国際文化学研究科・博士後期課程)
協力者
深川 宏樹(国際文化学研究科・准教授)
前田 宙(国際文化学研究科・博士前期課程)

プロジェクトの目的

 このプロジェクトの目的は、「負の遺産」それ自体を対象化するのではなく、それを取り巻く複数のアクターの実践や関係性に着目し、これまで捨象されてきた「負の遺産」と向き合う人々の実態を捉えることである。既存の研究では、「負」の出来事ののち、戦跡や収容所などが重要な「遺産」として発見されたものが「負の遺産」とされてきた。そして、「負の遺産」とその記憶を語り継ごうとするアクターとの単線的な関係性が議論されてきた。遺したい人と遺したくない人という対立も一枚岩的に描かれてきたきらいもある。申請者らは、「負の遺産」の形成、保存・保管、表象、継承の過程で複数のアクター間の関係は流動的であると考えている。つまり、「負」の記憶を語り継ぐためだけではない多様な意味づけが「遺産」にはなされる可能性がある。本研究では、あるモノが「負の遺産」として発見される契機や複数のアクターによって表象される過程を描くことで、「負の遺産」の創出や、意味づけの読み替え、それを利用する人々の関係性を捉え、「負の遺産」の複層性と流動性を議論する。