4. 占領期から1950年代における「科学的」という意味が付された映像の考察

代表者
大谷 晋平(国際文化学研究推進インスティテュート・学術研究員)
協力者
松元 実環(国際文化学研究科・博士後期課程)

プロジェクトの目的

 本研究は占領期から1950年代における「科学的」という文言が付された映画作品を分析し、具体的 に映像表現においてどのような特徴が見出せるのかを明らかにするものである。
 GHQは占領期に視聴覚教材を全国で上映したり、映画の検閲を行うことによって日本の戦時中の軍 国主義的イデオロギーを排して民主主義の啓蒙を行おうとしたが、その際に強調されたのが「科学」 である。そのこともあり、終戦から1950年代は民主主義啓蒙と結びついた科学映画が数多く製作され、 例えばそうした作品では問題の発見から解決への道筋の組み立てから実験の過程などを見せるプロ ットなどが見出せる。ただ、単に「科学」を強調するだけでなく、映像=動くイメージを見せている 時点でそこに娯楽的なものはなかっただろうか。そしてその場合における映像の娯楽性をいかに解す るべきだろうか。
 本プロジェクトでは、「科学的」とされた映画表現を、動いているものを見る愉しみという娯楽性 との関わりから読み解くことを通じて、イデオロギーと映像・動きの連関について考察することへと 開かれる。