池田直樹助教の著作『ピーター・Ⅼ・バーガー――分極化するアメリカ社会と対峙した社会学者』受賞のお知らせ

本研究科に所属する池田直樹助教の著書『ピーター・Ⅼ・バーガー――分極化するアメリカ社会と対峙した社会学者』(ナカニシヤ出版、2023年)が2024年度日本社会学史学会奨励賞を受賞いたしました。

同作は20世紀後半のアメリカ社会学を代表する人物の一人であるピーター・Ⅼ・バーガーの社会学説と規範的な社会構想の展開を、1950年代の最初期から21世紀初頭の最晩年に至るまで詳細に跡づけた作品です。バーガーは一般的には「現象学的社会学者」ないしは「構成主義の理論家」として知られていますが、同作は篤信のルター派信徒としての彼に光を当て、また彼の思索活動を同時代の文脈の中に置き直すことでこうした従来のバーガー像の刷新を試みています。具体的には、彼における信仰と学問、実践と認識の不可分の統一に着目し、独自の社会学の樹立と社会理想の構築に向けて時代と執拗に格闘し続けたバーガーの一貫した思想像を描き出すことに同作の眼目があります。また同作はバーガーを中心として同時代のアメリカの思想史的状況を捉えようとする試みでもあり、今後社会学説史のみならず、社会思想史や政治思想史へと発展していく可能性も秘めています。

同作は上記の内容により「社会学史研究の分野において優れた成果をあげた」と評価され、2024年度の日本社会学史学会奨励賞受賞へといたりました。