Academic Year 2022

Fieldwork and Categorization of Materials Activities at Kobe Union Church

Principle Investigator:Taro Kinugasa
Associate Professor,
Graduate School of Intercultural Studies

本プロジェクトでは現在、神戸市灘区に拠点を置くキリスト教会「神戸ユニオン教会」のスタッフと協働しながら同教会に所蔵されている史料整理・目録作成を行っています。この作業によって所蔵史料を研究資源・観光資源として利用できるようにすることが第一段階の目標となっています。将来的には、第二段階としてこれらの史料を調査分析し、それについての研究シンポジウムや展示会を行うなどの活動も視野に入っていますが、この段階へ進むにはまだしばらく時間がかかる予定です。

神戸の欧米系・ドイツ系コミュニティの中心であった神戸ユニオン教会には最近100年間の歴史資料(史料)が所蔵されており、その数は英語史料で4~5万点、ドイツ語史料も数千点に上ります。こうした史料を利用可能なものにするためにも、まずはそれらを整理し、また目録化することが求められており、同教会の財政的支援も受けながら、研究代表者である衣笠太朗・国際文化学研究科講師のほか、大津留厚・本学名誉教授、市原晋平・本学人文学研究科助教、中村綾乃・大阪大学准教授、井上舞・本学人文学研究科研究員などの研究者および林祐一郎・京都大学博士課程といった院生に協力を仰ぎながら研究を遂行しています。

神戸の欧米系コミュニティ、特にドイツ語圏出身者のコミュニティの歴史については、手塚治虫の漫画『アドルフに告ぐ』などでその存在が広く知られているものの、その実態を歴史学的に検討した研究はまだ数が少ないと言えます。そこで重要になるのが同教会の史料群です。当該教会には多数の史料が所蔵されていますが、それらは神戸における欧米系・ドイツ系コミュニティ形成・維持の一端を知る上で第一級の史料です。その歴史学・人文社会科学による分析は神戸の地域史を再検討するために必要不可欠であると考えられ、今次の史料整理および目録作成はその準備段階にあたります。まずは来年度までを目途に、史料整理の完了およびある程度の調査・分析を遂行する計画を立てています。

神戸ユニオン教会での資料整理後に撮影した、教会の方々との集合写真