1. ファン翻訳についての研究ー中国語圏を中心に
代表者
朱 藹琳(国際文化学研究推進インスティテュート・協力研究員)
分担者
余 玟欣(国際文化学研究推進インスティテュート・学術研究員)
協力者
張 嘉慧(国際文化学研究科・博士後期課程)
※外部協力者として、鄭 雁天(中国・雲南大学外国語学院・専任講師)が参加。
プロジェクトの目的
ファン翻訳とは、主にゲーム・アニメ・ドラマ作品などのファンが、ファンのために、作品の選定から、翻訳、配布までを行う行為を指している。1980年代当時のファン翻訳は、気に入った作品の共有や、米国テレビ局の日本のアニメ作品に対する大幅な改編に対し抵抗する意志を表示するといった背景のもとに生まれたが、21世紀に入ってインターネットの普及に伴い、ファン翻訳のコミュニティは急速に拡大していった。こうした背景の中で、特に欧米では、ファン翻訳のコミュニティの方針・実施方法を調査したり、翻訳のテクストを分析したりするといった研究が進められた。また、日本語や英語と中国語の間においても、ファン翻訳が盛んに行われはじめ、近年、ファン字幕と公式字幕の比較や、ファンによる翻訳テクストとプロ翻訳者による翻訳テクストの比較などの研究が現れた。しかし、まだ研究がわずかであることに加え、調査はテクスト分析に止まり、翻訳の動機、ファンコミュニティの形成要因など、社会面からのアプローチに関する研究はまだ見当たらない。従って、本プロジェクトは、以下の研究目的を掲げて、研究を進める。