2. 台日野球交流における身体技芸とパフォーマンス文化の研究

代表者
黄 柏瀧(国際文化学研究推進インスティテュート・学術研究員)
分担者
大谷 晋平(国際文化学研究推進インスティテュート・学術研究員)
小笠原 博毅(国際文化学研究科・教授)

※外部協力者として、山本 敦久(成城大学社会イノベーション学部・教授)、謝 仕淵(台湾・国立成功大学歴史学系・准教授)が参加。

プロジェクトの目的

 米国発祥の「ベースボール」は、明治初期日本に輸入されて以来「野球」として急速に人気が高まり、植民地を拓殖する日本人と共に台湾へ渡った。「野球」は植民地統治の手段の一つでもあったが、数多くの製糖業(工場)に勤務する労働者の娯楽・運動として民間によって広められた。現在台湾の「棒球」(野球の華語)は、国民党政権下での米国との深いつながりに根ざした大衆文化として消費されている。また先住民の社会的地位上昇の手段ともなっている。このように、台湾の野球は植民地主義、冷戦下における世界情勢、ポストコロニアル状況を組込んで発展してきたにもかかわらず、その複雑さを国際的視野に立って整理する研究はほぼない。したがって、本プロジェクトの目的は、台日野球交流を植民地主義、冷戦、先住民支配にかかわる歴史から捉え直し、日本と台湾の野球グラウンドやスタジアム内に再現された、もしくはメディア(野球映画、漫画、アニメ、報道など)が表象した多様な「身体」パフォーマンス(選手の技芸やジェスチャー、応援のダンスやファンの所作なども含む)を研究対象とし、野球を通じたグローカルな身体文化の生産過程を明らかにすることである。