移民・難民をめぐる文化政策

日本拠点代表者
藤野 一夫
(神戸大学国際文化学研究科教授)

相手国拠点代表者
Wolfgang SCHNEIDER
(ヒルデスハイム大学文化政策学部教授)

 中東の政治情勢の悪化に伴い、2015年来、主にシリアから大量の難民が欧州に流入し、難民受入数はドイツだけでも百万人を上回る。ヨーロッパのイスラーム化に反対する政党が支持を増やす中で、ドイツの文化政策関係者は、難民とホスト社会との摩擦を緩和し、難民の心的ケアに寄与する文化施策を展開している。ドイツで展開されている「難民に対する文化政策」は、グローバル化と連動した新たな社会問題に対応する政策事例として注目すべきものである。それは国際的な人権保障の観点だけでなく、少子高齢化社会や持続可能な経済発展に対する政策としても有効である。アジアと世界における日本の政策課題と国際貢献のあり方を検討する本研究交流活動は、政策的観点からも高い評価を受けると期待される。