6.「地域」が芸術表現を揺さぶる時:<具体>、アンフォルメル、アヴァンギャルド芸術運動の連関分析
代表者
大谷 晋平(国際文化学研究推進インスティテュート・学術研究員)
分担者
向井 晃子(国際文化学研究推進インスティテュート・協力研究員)
原田 豪(国際文化学研究推進インスティテュート・学術研究員)
プロジェクトの目的
本研究は、1954年から1972年まで活動した現代美術団体〈具体美術協会〉(以下〈具体〉)と、東京の現代美術家や文学・批評界も含むアヴァンギャルド芸術との隔たりが、フランスを中心に1951年頃から展開した芸術潮流「アンフォルメル」の日本での波及(1956年頃から)により少しずつ解消されて影響関係を取り結んでいく過程を、表象分析と美術誌などの言説分析、そして当時の政治的状況を結び付けながら読み解くものである。すなわち、「中央(アヴァンギャルド芸術運動)/地方〈具体〉」という区分、さらに権威的に「外部者」として捉えられる場(欧米の「アンフォルメル」)の事情が絡み合うことで、戦後日本の空間で芸術作品が「作家の表現」として扱われること、つまり、実際は多様な文脈から措定される社会的事情を汲んだ上での「作家性」であるにもかかわらず、それが「普遍性」を持つものとして明に暗に共有されて強調される文脈の形成を明らかにしながら、当時の芸術潮流における東京-関西-欧米(特にフランス)の力学を考察するものである。このことを通して、幅広く「地域」をめぐる力学と人間による表現活動とを結びつけるような研究の道筋を見出していく。