1. 国際協調体制における「望まぬ制度作用」とその反作用の解明:EUにおける制度的影響と加盟国による対応の分析

代表者
原田 豪(国際文化学研究推進インスティテュート学術研究員)

分担者
宮本 聖斗 (国際文化学研究科博士課程後期課程)
宇野原 将貴(国際文化学研究科博士課程後期課程)                  

プロジェクトの目的

 昨年度から継続される本プロジェクトの長期的目的は,最も制度化が進展した国際協調体制とされるEUを対象とし,制度要因が国際協調にどのような影響を及ぼしているかを分析することにある.

 従来の研究では,制度による国家間協調の促進・維持作用が想定された研究が主であった.しかし,昨年度の本プロジェクトの研究成果からは,制度が必ずしも促進・維持作用を発揮するとは限らないことが確認された.

 この研究成果から導き出される次の問いは,「促進・維持以外の制度作用に対し,加盟国はどう対応するのか」である.昨年度,制度作用を分析する際に依拠したリベラル制度論では,「利害計算を基に国家は行動を決める」と措定し,「制度が利益をもたらす」が故に国家間協調が促進・維持されると主張する.では,「制度が害をもたらす」ことが明らかとなった場合,利害計算を基に行動する加盟国はどう反応するのだろうか.

 今年度の本プロジェクトでは,この「制度作用に対する反作用」の解明を第1目的とする.