2. 東アジアにおけるグローバル化と朝鮮の民族意識の再編
代表者
高 旻成(国際文化学研究推進インスティテュート・協力研究員)
分担者
Benjamin Wolfs(国際文化学研究科博士後期課程)
許 潔(国際文化学研究科博士後期課程)
プロジェクトの目的
朝鮮戦争以降培われた朝鮮・朝鮮半島にルーツを持つ人々の「民族」意識とその変遷の理由を明らかにすることを目的とする。とりわけ、この人たちの冷戦体制下で構築された「民族」意識による線引きが再生産及び拡張されつつあることに焦点を当てている。ここで注目すべきは、排他性が「外国人」より自民族同士で発現し、グローバル化によって加速化している点である。
周知のように、日本植民地体制の崩壊後の朝鮮半島には時間・空間・人を一定の領域に結びつける「Nation-State」が必要だった。だが、その枠外に暮らす人においては、「Nation-State」は恣意的なものであった。そこで、在日コリアンの「HOME 意識」の変化や民族的・ジェンダー的に位階化された在韓朝鮮族女性労働者の変容、韓国「国民」と自民族への排他的な態度など、冷戦体制下で構築された「民族」はグローバル化で新たな展開を見せている。これを多様な視点からアプローチし、他の地域には稀に見るコリアンの「民族」意識やその展望にも一石を投じることができると考えている。